【若女将アッコのきもの白熱教室】 “伊勢型小紋” 歴史から紐解く 人気のヒミツ

平成最後の“大福屋☆きもの白熱教室”

 

テーマはリクエストが多い伊勢型小紋

 

この記事は

  • きものに興味のある方
  • イベントの前に伊勢型小紋を
    ちょっと知りたい
  • イベントに行きたいけど
    行けなさそう。。泣

という方のために書いています。

 

きものファン憧れの的。
『いつかは一枚欲しいなぁ〜❤︎』というお声が多いものです。

 

というわけでこの記事では
伊勢型小紋の歴史から人気のヒミツを紐解いていきたいと思います!

 

そもそも“伊勢型小紋”ってナニ?

今回のテーマ
『伊勢型小紋』ってそもそもナニ?ということですが


『伊勢型小紋』は
『いせがたこもん』と読みます。

 

三重県 鈴鹿市 白子町・持家町で古くから生産されてきた
伊勢型紙を使って染められた小紋を指します。

 

  • 伊勢型紙

 

  • 伊勢型紙を使って染めてる職人さん

 

染め上がると遠目には無地に見えながら手にとって間近で見ると・・・

 

驚くほど細かな
柄・柄・柄!!!





 

しかもこの柄は小さな点で模様が構成されています。

 

細かい図案だと
3センチ四方に小さな点が900個で柄ができているのです。

 

 

若女将アッコ

こんな繊細な手仕事、真面目で辛抱強い日本人しかできない・・・
と思ってしまいます^^

伊勢型小紋はもともと
お侍さんのもの!!!

いまは着物で見ることの多い伊勢型小紋ですが
もともとはお侍さんが着ていたもの。

 

 

 

江戸時代、武士の裃(かみしも)に小紋柄が
染められるようになり発展してきました。

 

 

裃を染める色は

  • 藍(あい)
  • 鼠(ねず)

などの渋い色。

 

渋い色という縛りがあったため
各大名家は柄の精緻を競うようになります。

 

当時、柄は細かいほど良い!と考えられていました。

若女将アッコ

こ、こまかい・・・

 

それぞれの藩が自藩の『定め小紋』を持つように…
他家での使用を禁ずるようになりました。

 

これはさりげなく自分の藩のアイデンティティーを
示すものであり、
今でいう“ブランディング”のようなものですね!

 

 

有名なのは

  • 紀州徳川家の“極鮫(ごくさめ)”

 

 

  • 薩摩藩 島津家の“大小霰”
    (だいしょうあられ)

 

 

  • 加賀藩 前田家の“菊菱”(きくびし)

 

 

当時の江戸は人口100万人!
世界的に見ても経済的に潤っていた大都市!

 

 

粋でオシャレな江戸っ子たちがこの伊勢型小紋をほかっておくはずがありません。

 

洗練されていてさりげないのに深〜い味わいが“粋”とされ、
江戸の町人たちにも大人気!

 

特に江戸中期、豊かで余裕がある町人文化が背景となり、
遊び心のある面白い柄が生み出されました。

 


 

 

いまの時代に息づく
“伊勢型小紋”

一口に伊勢型小紋と言っても時代背景から大きく二つの流れがあることをお伝えしました。

では、現代を生きるわたしたちが着る着物に
江戸時代に生まれた柄たちはどのように息づいているのでしょう?

フォーマル

裃に使われていた武家の“お家の格式”を表す端正な柄

  • 行儀

  • 角通し

これらは家紋をつけて
略礼装(りゃくれいそう)の衣装として着ています。

いわゆる式服。フォーマルシーンの衣装です。

具体的な場面といえば

  • 孫や甥や姪・お友達の結婚式
  • 入学・入園・卒業式
  • 七五三などですね。

お茶会

そして、人気があるのがお茶会

特におもてなしをするホスト側であれば
色無地か細かい柄の伊勢型小紋を着ておられる方が多いです。

若女将アッコ

お茶を習っている方からは、
『色無地の次は伊勢型小紋が欲しい❤︎』
というお声はよく聞きます。

 

 

観劇

歌舞伎を見に行くのに伊勢型小紋が着たい!というお話しも・・・

 

 

若女将アッコ

観劇というシーンに
江戸の町人たちが生み出した粋でオシャレな柄の伊勢型小紋はめちゃくちゃカッコイイと思います!

 

歌舞伎も伊勢型小紋も
江戸の町人によって育まれた文化ですので相性ぴったりです。

 

 

ほとんど無地に見える伊勢型小紋に

  • 季節感たっぷりの染帯
  • オシャレ用の袋帯

を結んで“盛装”いわゆる“おめかし”をして

  • 劇場
  • 割烹やレストラン
  • 美術館
  • 同窓会
    etc・・・

 

に出かけたい!という思いは時代や年齢を問わず
女子の永遠のテーマだと日々のお話から感じています!

 

 

これらのことから考えて、伊勢型小紋の人気のヒミツは

①一見無地に見えつつもさりげなく遊び心がある!

 

②一枚あれば帯や小物を変えるだけで
フォーマルからオシャレまで
シーンに合わせて幅広く着ていくことができる!

 

という点で
きものファンの皆さまに厚く支持されているのだと
日々感じています^^

 


いかがでしたか?

 

江戸時代に生み出された衣装が
350年以上のちの平成も終わろうとしている今の日本に息づいていること・・・

 

適応力豊かな日本人の感性に
いつも本当に驚くばかりです(笑)

 

 

次回は
伊勢型小紋がどのように生み出されているのか???

伊勢型紙と染めの両面から迫ってみたいと思います。
お楽しみに!

 

伊勢型小紋についてはこちらの記事もご覧ください