着物が好きなひとは紬が好き⁈ 着物LOVERを虜にする紬の着物の魅力
この記事はきものに興味のある方むけて書いています^^
着物が好きな人は「紬の着物が好き!」という方が多いですね。
そこで紬って一体どんな着物をいうのかを考えてみたいと思います。
もくじ
着物の着物って一体ナニ?
紬は「つむぎ」と読みます。
着物をあまり着なくなった今でも、着物が好きという方、着物を着る機会がある方には“紬の着物”が好きな方が多いですね。
私もそうです! 素朴ですが味わいのある紬の着物は大好きです。
紬とは・・・
絹織物の一種で,元来は紬糸を用いた織物のこと。組織は平織とし,色無地や縞,絣物を主とするが,後染用の白生地もある。外観は一般的な絹織物に比べて平滑さや,光沢に欠け,紬糸の糸質より生じる独得のざっくりとした風合いがある。
世界大百科事典 第二版
まとめると・・・
- 絹の糸でおられた織物
- 縦糸(たていと)と緯糸(よこいと)を一本ずつ浮き沈みさせて織る平織りでおられている
- 絹織物の中でもなめらかさや光沢はなく、どちらかというと素朴な風合い
ということが特徴です。
フォーマルの着物が一般的に“染めもの”と呼ばれることに対して、
紬は“織物”(おりもの)とも呼ばれます。
紬は 織る前に先に糸を染めて
織るときに糸と糸の交わりで柄を織っていくことが基本になっています。
そのため、柄の織り方を考えて糸を染めます。
↑柄を織りながら気になるところを修正しながら織り進めます。
反対にフォーマルの着物は
絹糸で白い生地を幅に織ってから色柄を染めていきます。
ちなみに、
紬というのは、実は日本全国でおられているものなのです!
糸の作り方や染め方、織り方にその土地土地で特徴があり日本全国に生産地があります。
有名なのは
- 山形県の米沢紬(よねざわつむぎ)
- 新潟県の塩沢紬(しおざわつむぎ)
- 石川県の牛首紬(うしくびつむぎ)
- 群馬県の結城紬(ゆうきつむぎ)
- 八丈島の黄八丈(きはちじょう)
- 長野県の上田紬(うえだつむぎ)
- 岐阜県の郡上紬(ぐじょうつむぎ)
- 鹿児島県の大島紬(おおしまつむぎ)
- 沖縄県の久米島紬(くめじまつむぎ)
紬の着物はひとつの反物を仕上げるまでに様々な工程があり、そのほとんどが手作業です。
どこの産地も作り手の高齢化にともない、作れる数がどんどん少なくなってきています。
そのため、
製作技術そのものが重要無形文化財であったり
作品自体が経済産業大臣指定伝統的工芸品だったりに国から指定されています。
ここに注目!紬の着物の魅力
私が紬の着物の魅力だと思うところをふたつご紹介します。
ただし、全ての紬がこうした工程を経て作られているわけではないです。
これらは非常に手間のかかる工程です。
手間がかかる分だけどうしても価格は・・・
高くなってしまいます。。
ですが、このふたつは
私にとっては紬の紬たるゆえんなので
紬をみるときはチェックしているというか
どうしても気になってしまうポイントです!
魅力その① “糸を手で紡ぐ”
「紬」の漢字の成り立ちは、
ひょうたんのような形をした熟した果実から中身を抜き出すことを意味する「由」に
「糸」がくっついてできています。
糸 と 由 で 「 紬 」
「糸を引き出す」様子から「引き出された糸で織られた物」を意味するようになり
いつしか絹織物を表すようになったそうです。
すべてではありませんが紬のなかでも高価なものは“手紡ぎ”といって、
繭を広げてから手作業で少しずつ繊維を引き出し糸づくりをおこないます。
どうしてもわかりやすさのある機織りの作業に目が向きがちですが、
実はこの糸を作る作業が大切です。
25秒頃から糸を紡ぐ工程が見られます。
ただ、悲しいことに
紬の着物を作り出す根幹の工程にもかかわらず
後継者がいない・・・というのが現実。
これは本場結城紬卸商共同組合のホームページなのですが、
糸を紡いでくださる方を募集しているぐらいです。
糸が作れなくなってきているのは どこの産地も同じ。
このような手仕事は失われつつあるのが現状です。
これは私の個人的な意見なのですが、手紡ぎ糸のなにが良いか?って、
手紡ぎの糸で織られた紬の着物には“ほわっ”としていてふんわりとした柔らかさを感じます。
さわるだけでも相当な癒され感があります!笑
もし、これに全身包まれたとしたら・・・
↑こんな感じです^^(妄想中)
染め物など生地の使い方によっては機械を使って紡ぐ場合がいいこともあるのですが
人の手で紡がれた糸で織られた紬の着物のもつ優しさ、温もりは紬の着物の醍醐味だと思います。
魅力その② “植物から抽出した染料で染める”
紬の着物の多くは糸を染めてから、織るときに糸を交差させることで柄を織っていきます。
大島紬
アップにしてみると・・・
白く糸が染まっていない部分を合わせることによって柄が織られていることがわかりますね。
その糸を染めるための染料には
- 草木から取れる染料
- 化学合成される染料
だいたいどちらかを使います。
紬の着物はすべてではありませんが
“草木染め”といって草木の花・葉・茎・根・木の枝葉・樹皮から抽出した染料を使って糸を染めるものがあります。
代表的なものは
- 藍(あい)
- 紅花(べにばな)
- 刈安(かりやす)
- 茜(あかね)
- 紫根(しこん)
- 鬱金(うこん)
- 車輪梅(しゃりんばい)
- さとうきび
etc…
こちらはフクギという草木で染めて織り上げた久米島紬。
とっても鮮やかでキレイな色に染まるんです!
草木の染料を使って染める場合も手紡ぎの糸同様、非常に手間がかかります。
草木を煎じて作った染液を作る
↓
染液につけて糸を染める
↓
媒染液に浸ける
この工程で繊維と色素を結びつける。
灰(アルミなどを含む)や土(鉄などを含む)を利用して
化学反応させて繊維に色素を定着させる。
糸を濃い色に染めるときは一度では染まらず・・・
同じ工程をなんどもなんども繰り返すことで濃い色に染めていきます。
右から左に向かって染める回数を増やしていくと、どんどん色が濃くなっていきます。
草木の染料で染めるとなんとも言えない絶妙な色に染まるのです。
色に敏感な方は草木染めで染められた着物にこだわっておられる方もいるぐらいです。
これも完全に私個人的な意見なのですが
草木染めで染められた色というのは色に深みというか奥行きというか・・・
奥から色が浮き上がってくるような感じがします。
淡い色でも力強さがあると思いますし、濃い色でも優しさがあると思います。
植物から生み出される色には、1/fゆらぎのような癒しの効果がある
と思うのはきっと私だけではないはずです。笑
当代きっての染司 吉岡幸雄さんはこのようにおっしゃっています。
自然の植物から抽出された色には『温かさ』や『命の源』を感じさせる深みがある。
染司よしおか五代目当主
染織史家・吉岡幸雄
紬の着物のTPO
最後に紬の着物のTPOについてお話ししたいと思います。
紬の着物が映えるシーン
紬の着物は基本、おしゃれ着。
おしゃれ着というのは自分の楽しみのために着る着物です。
なので、
- おめかししていきたいシーン
- 自由に自分を表現することがOKなシーン
- 自己表現が求められるようなシーン
- リラックスしたいシーン
これらには向いていると思います。
例にすると
- 観劇
- 食事会
- ホームパーティー
- 同窓会
- 懇親会
- 女子会
- お仕事
- お買い物
- お稽古
etc…
紬の着物は滑りにくいので着付けもしやすいです。
重力で下に下がる、というより身体全体に乗っかる感じなので
あまり重さを感じず一日きていてもラクチンです。
紬の着物がふさわしくないシーン
①明確にフォーマルとされているシーン
結婚式などフォーマルな席に紬を着ていくことはNGです。
フォーマルの席の装いは相手ありきで決まります。
装う自分の先にお相手があり、
お相手のと関係や出席の目的で何を着るかが決まりますよね。
その際は、TPOのルールに沿った着物を着ることが大切です。
周りの方が違和感を感じることなく、自分も着ていて安心感があります。
フォーマルな席では自分の都合や主張より
装いにお相手を思う気持ちが現れていたほうが
姿の美しさではなく、人としてのあり方の美しさを伝えられると私は考えています。
着物が高価とか安価とか関係なく
フォーマルの席に紬の着物はNGということを覚えておいてください。
② 周りとの調和を重んじられるシーン
お茶席やお香の席などで
おもてなしする立場の場合も基本、紬は着ません。
茶道をはじめ、和のお稽古では、
空間や周りの方との調和が大切という考え方があります。
その場に違和感のないような装いを心がけることも大人としてのマナーのひとつですね。
お茶席では唯一、牛首紬のみが良しとされていますが、
ご自身の先生がなんとおっしゃるかを確認してからの着用がベターです。
茶道でも大寄せのお茶会でお茶をいただく場合や普段のお稽古なら紬の着物でもOKとされる場合が多くなりました。これもまずは先生に差支えがないかお伺いすることが大切です。
紬の着物は、着物というジャンルの中でも素朴なテイストから
おしゃれ感の強いもの、シンプルで上質感のあるものまで
とーっても幅が広いです。
その幅の広さこそが紬の着物の魅力。
自分に似合って、かつ、その場にTPOにあった着こなしを考えることは
なかなか難しいですが、それこそが着物のおもしろさだと思います^^
いかがでしたか???
着物が好きな方からすれば復習のような記事になったと思います。
紬の着物は着こなしの自由度が高い分、着るひとのセンスが表れます。
おしゃれを目的に着る場合は特に、色や柄の取り合わせには遊びの要素がふんだんに詰まっていても楽しいのではないでしょうか?
同じおしゃれ着でも小紋のような“染めもの”とは色の映り方が違うところもあります。
染めもので「好きだけど、あまり似合わないな・・・」と思う色も紬の着物では顔映りが
違って見え、十分着こなせる場合もあります。
気になる色があれば、試着の段階でご自身の先入観なしにいろいろ試していただくことが大切だと思います。
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