はぐくみの結城紬 “手紬糸“を巡る旅

日本全国に紬を織っている産地がたくさんあります。

 

5月28日より開催します
はぐくみの結城紬 “手紬糸を巡る旅”
若女将アッコの着物白熱教室 9years Special

 

タイトルどおり“結城紬”を特集してお届けいたします。

 

今回のスペシャルゲストは この方!

手紬糸を紡ぐ職人さん
田中紀久美さん

 

この記事は

きものに興味のある方
イベントの前に結城紬ちょっと知りたい
イベントに行きたいけど行けなさそう。。泣
という方のために書いています。

 

本場結城紬の芯となる  “手紬糸”

今回は 結城紬を織りなす“糸”という視点から考えてお届けしたいと思います。

結城紬、特に本場結城紬に使われる糸を
「真綿手紬糸(まわたてつむぎいと)」といいます。

この手紬糸は手作業によって紡がれています。

手作業で・・・
なんて書くだけなら簡単なのですが、
これがかなりお手間と時間のかかる工程でして・・・

本場結城紬の根幹を支える大切な工程です。

手紬糸は桶1つ分を「1ボッチ」という単位で数えます

この桶いっぱいで“1ボッチ”

結城紬 一反分を織り上げるのに必要なのは7ボッチ。
桶7つ分の糸が必要とされます。

7ボッチの手紬糸をとるためには「最低で70日」という途方もない時間、
そしてなによりも根気が必要とされます。
 
 
 
 
 
 

手紬糸の職人さん
田中紀久美さんとの出会い

春のきらきらとした風がそよぐ3月中旬
私は一人の糸とりの職人さんに出会いました。



田中紀久美さん

田中さんはこの道50年という大ベテランの糸取りの職人さんです。

 

田中さん
「真綿から糸をとるときは、真綿がこれだけバラバラ離れているから、
 これをただ一本の糸に唾液でぴゅっとまとめるだけ




「まとめるだけ⁉︎・・・まとめるだけって???   んん?」

 


そこから私のアタマのなかはハテナが飛び交いはじめます。


「着物を織る糸を作るのにまとめるだけって・・・???
 糸って、撚りがかかるから「糸」になるんじゃないの???
 撚りがかからなくても糸は織ることはできるの???」


糸をとりつづける田中さん
どんどん産み出される糸を目の前に 私のあたまはさまざまな疑問と
「まとめるだけ」という言葉でいっぱいに・・・笑


「まとめるだけ」
「まとめるだけ」
「まとめるだけ」
「まとめるだけ」
「まとめるだけ」

 

この手紬糸がどうやって着物になっていくのか知りたい!


結城紬はすべての工程が分業制。


絣を括る職人さん
糸を染める職人さん
地機で織る職人さん
湯通しをする職人さん


結城紬にたずさわるみなさんはこの糸をどう思っておられるのだろう・・・
そんな思いが自然とわきあがってきました。






結城紬の核心  手紬糸

結城紬は全ての工程が分業制。
手で紡がれた糸がはそれぞれの職人さんの元でそれはそれは大切に育まれて、
私たちの元にやってきてくれます。

この手紬糸の持ち味である
ふわーっとした柔らかさ、風合い
これを活かすことがすべての工程のテーマになっているんだな・・・とたくさんの職人さんにお会いして感じました^^

 

代表的な工程をご紹介しますね。

絣くくり

結城紬をはじめ紬の着物は糸を染めてから、織るときに糸と糸の交差で柄を描いていきます。


その柄を構成するための「点」を糸に染める工程が絣くくりです。


絣くくりは非常に根気を必要とする工程。

そして、しっかり糸を締めないといけないので力がある男性が担当しておられることが多いです。


1日根を詰めても2000箇所の絣くくりが限界なんだとか。
須藤英さんが職人さんのなかでも一番の若手です。




写真で絣を括っておられる糸の分量は、実際に機で織ると長さが3センチぐらいになります。


こ、細かい・・・
白い部分が絣を括って防染した部分です。

たたき染め

結城紬は絣が細かく糸に染料が入りづらいのでたたき染めという方法で糸を染めていきます。

今回は稲葉染色店さんにおじゃましました。

 


今まで手紬糸を染めてきた染料、その配合の分量、その日の気温・湿度など記した記録帳が棚一面びっしり!


 

いまでも経験やカンだけに頼らず、過去の記録を検証しながら染色されておられるそうです。

 

 

地機

結城紬の特色である地機(じばた)
若き伝統工芸士 小柳阿佐子さん



私が見学させていただいたときは
一度 横糸を渡してから次の横糸を渡すまで12分!

 

絣をぴったりあわせたり、
柔らかく切れやすい手紬糸の縦糸を結んだり、糊をつけたり・・・

ひとくちに「織る」ではなく、まさにお世話するに近い感覚です。


「こんなに愛情をかけて織っておられたら、手放したくなくなってしまうのではないか・・・」と感じてしまうほどでした。


本湯通し

結城紬の最後の工程 本湯通し


柔らかく切れやすい手紬糸を織るために含んだ糊をおとします。
結城紬の風合いはこの「本湯通し」で決まる!といっても過言ではないぐらい重要な工程です。


本湯通ししてもらった結城紬がお日様にあたり風に吹かれてそよそよと気持ちよさそうにしていました。


この工程はお客様からご注文をいただいてからになります。

着る方のお好み、仕立て方、そして機織りの職人さんがどなたか、、
などさまざまな要素を考慮した上で絶妙に糊の塩梅を加減してくださいます。


まさに職人ワザ!!!

 

ただ、
この本湯通しをしてくださるのは横島整理店さん一軒だけとなりました。
さみしいですが日本の伝統工芸にはさけられない課題だな、、と感じます。

 

そしてこの方が扇の要

産地問屋さんの若き社長 小倉進吾さん



この職人さん皆さんを束ねる“扇の要”のような存在です。

出来上がりのイメージから糸の組み合わせや仕事の采配を担っておられます。

どの職人さんがどういう仕事が得意なのかを把握し
より良い結城紬を世に送り出すため 日々東奔西走されておられます。

 

手紬糸への思い

本場結城紬は分業制で作り上げられています。


それぞれの工程を担う職人さんがおられ、
それぞれお役目は違っても
「手で紡いだ糸の良さを最大に生かす」
この想いはみなさん共通なんだと強く感じました。



手紬糸を使う本場結城紬を織りなす軸はそこにあるのだと。


「絣を括る」「染める」「織る」「湯通しをする」という工程のなかで
みなさんがそれぞれ手で紡がれた柔らかい糸である
「手紬糸のお世話している」という感覚になりました。



「なんか、、、糸が旅をしながら育てられてるみたい」

私自身の結城での旅の終わり、そんなことを感じながらじわーっと温かい気持ちになりました。



職人さんたちの愛情がたくさんこもった本場結城紬。
私も1つずつを大切に気に入ってくださる方のもとに「お嫁に出したい」

今回の結城紬の取材はそんな感覚が強くなりました^^

 


いかがでしたか?

今回の個展では、
旅の主役である“手紬糸”をうみだす工程「糸とり」を実際にご覧いただきながら、大切な作品をご紹介させていただきたいと思います。

初夏の一日、豊かな紬の世界にぜひお出かけください。
みなさまと結城紬についていろいろお話できましたら大変嬉しく思います。

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はぐくみの結城紬
〜手紬糸をめぐる旅〜

2021年5月28日(金)から30日(日)

5/28(金)16時ぐらいから
5/30(日)12時ぐらいまで
糸とりの職人さん 田中紀久美さんにお越しいただき
糸とりの実演をご覧いただけます

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