みんなの憧れ大島紬の超☆基礎知識【福ちゃん&アッコの大島紬白熱教室】
日本全国に紬を織っている産地がたくさんあります。
2023年 5月19日から開催します今回の個展
“福ちゃん&アッコの大島紬白熱教室 season6”
タイトルどおり“大島紬”を特集してお届けいたします。
今回のスペシャルゲストは この方!
ふくちゃんこと
“紬のふくはら” 代表 福原 豊さん
笑顔がとても愛くるしい方です。笑
全国の着物ラバーたちから大人気のふくちゃんが、一年ぶりに大福屋に来てくださいます。
この記事は
きものに興味のある方
イベントの前に紬を結城紬ちょっと知りたい
イベントに行きたいけど行けなさそう。。泣
という方のために書いています。
もくじ
“お嫁入りの必需品⁉︎” だった大島紬
「大島紬」は「おおしまつむぎ」と読みます。
着物が好きな方はもちろん、着物にあまり親しみのない方でも一度は聞いたことがある言葉なのではないでしょうか?
そして着物ラバーには結城紬と並んで憧れの着物ですね!
私も呉服屋さんにお勤めするようになって、
「大島紬」という言葉にも着物にも自然親しんでいったような気がします。
それぐらい人気があり、みんなの憧れということだと思います!
「名古屋嫁入り物語」の本拠地の愛知県で生まれ育った50代以上の方は
「婚礼タンスを積んだトラックに紅白幕をかけてお嫁入り道具を運んだ」
という方は少ないくないと思います。
その婚礼タンスの中には大島紬が必ずといっていいほど収められています。
現在、着付け教室に通って着物が着られるようになると
- 「タンスに入っていたけどこの着物ってどんなもの?」
- 「母親から、祖母から譲られた着物だけど、これっていつ着るの?」
- 「紬の着物だと思うんだけど、自分の寸法に直してほしい。できるかな?」
というご依頼をいただくことはよくあることなのですが
このときに見せていただくのも大島紬、、ということが結構あります。
大島紬
なんと甘美な響き ❤︎ ❤︎ ❤︎ …笑
「この着物、大島紬だと思います」とお伝えすると
みなさまの瞳が「キラン!」と輝きはじめるのをワタクシは見逃してはおりませぬ^^
そんな大人気な大島紬ですが、そもそもどんな着物なのでしょうか?
そもそも大島紬ってナニ・・・⁉︎
では、ワタクシが思う大島紬の特徴というか、
知識としてベースになることをカンタンですがお伝えしたいと思います!
超基礎知識 ① Made in 鹿児島
大島紬は主に鹿児島県でおられている絹織物です。
鹿児島県の中でも産地は主に二ヶ所あります
- 鹿児島県 鹿児島市周辺
こちらでおられているものを「本場大島紬」
- 鹿児島県 奄美大島でおられているものを「本場奄美大島紬」
sites.google.com1 user本場奄美大島紬協同組合https://sites.google.com/site/honbaamamioshimatsumugi/当サイトは、伝統的工芸品「本場奄美大島紬」及び本場奄美大島紬協同組合の活動を紹介するウェブサイトです。
鹿児島県の他には宮崎県都城市でも織られています。
超基礎知識 ② 織り方は“平織り”
大島紬の織り方は「平織り」
「平織り」は「ひらおり」と読みます。
平織りの特徴は
縦糸(たていと)と緯糸(よこいと)を
一本ずつ浮き沈みさせて織る
という最も単純な織り方です。
↑平織り イメージ図
平織りはシンプルな織り方ですがとっても丈夫!
そのため多くの織物に使われる織り方です。
経糸(たていと)、緯糸(よこいと)ともに絹糸を使って織られています。
超基礎知識 ③ 糸を染める染料
大島紬は先に糸を染めてから織る「先染め」です。
大島紬の糸を染める染料といえば・・・泥と藍
-
泥染め
車輪梅(しゃりんばい)の木のチップで染色したあと、泥田につけ込み全体がなじむよう染めます。
写真は本場大島紬織物協同組合ウェブサイトより
車輪梅のタンニンと泥の中にある鉄分が化学反応を起こし、黒になります。
また、このときにしっとりとした光沢も出てきます。
泥染で発色する黒は「濡羽色(ぬればいろ)」ともいわれ、
カラスの羽のような艶のある黒色のことをいいます。
また、泥の中の鉄分が絹糸を包み込むように染まるので、丈夫で汚れにくく虫もつきにくくなるそうです。
- 藍染め
タデ科の1年そうである「藍(あい)」を発酵させて作る染料です。
発酵させて2週間ほどでできる“藍花”とよばれる泡の加減で色味を判断します。
大島紬の代表的な染料である泥染と藍染ですが、
- 泥染
- 藍染と泥染を併用した泥藍染め
- 藍染だけの正藍染め
など
泥と藍だけでも染料の掛け合わせで染め方が何通りもあります。
その他、
植物から採れる草木染め
もちろん科学染料も使われています。
超基礎知識 ④ 大島紬は二度織る⁉︎ 「絣締」
大島紬は先に糸を染めてから織る「先染め」とお話ししました。
糸を染料で染める前に図案の設計図にそって糸の染める部分、染めない部分を決めます。
染めない部分を経糸の綿糸で織締めていく工程を「絣締(かすりしめ)」といいます。
絣締をするときは専用の機(はた)があります。
実際に大島紬を織られる機より大きいものです。
この工程は染められた絹糸を織って製品を作っていくものではなく、
糸の染めたくない部分を綿の糸で覆うための工程です。
製品としての大島紬を織る工程のずーっと前で、糸を染料で染める前の工程となります。
絣締は図案に従い文様部分を固く織込む作業です。
たて糸の綿糸で絣になる絹糸を織締すると、織込まれた部分は綿糸で防染されて染まりません。
締機(しめばた)は強い力を要するので織機よりも大きく、おもに男性の仕事になっています。本場大島紬織物協同組合ウェブサイトより
絣締めを経て染められた糸。
糸の白い部分が綿の糸で締められたところです。
この糸の色がついているところ同士、
もしくは色がついていないところ同士、
縦と横で交差させて柄を織りだしていきます。
アップにすると糸の交差で柄が織り出されていることがわかりますね。
夏大島。
写真ひだり手前側で亀甲文様が織り出されていることがわかると思います。
なんと精緻な柄!!!
こんなに細かい柄を織るために2回織っているなんて・・・
気が遠くなるなるほどの手間と時間がかかるものなんですね!
絣で柄を織りだす大島紬がナゼ高額なのかは、果てしない手間と時間がかかっているからということが分かればむべなるかな・・・とも思います。
ちなみに・・・
- 経糸(たていと)は無地、
緯糸(よこいと)に絣を括って柄を表現するものは横絣(よこがすり)
紬のふくはら謹製
- 経糸(たていと)緯糸(よこいと)の色の変化で縞を表現する縞格子
2点とも 紬のふくはら謹製
先染めが基本の大島紬ですが、後から染めるものもあります。
- 大島紬で白生地を織ったあとに上から柄を描いていく「染大島(そめおおしま)」
紬のふくはら 謹製
これだけ様々な表現があるというのは大島紬がいかに人気があるのかを物語っていると思います。
これは他の人が持っていないものを作る、、
というところから進化していったのではないかと思うのです。
・染料や染め方、色の組み合わせの多さ
・絣糸のたて横の組み合わせの多さ
・図案や技法の多様化
組み合わせや技法がたくさんあるのは様々な表現を模索していった結果なのではないかと思います。
大島紬は30以上もの工程を経てやっと完成!
一反を半年から一年もの時間かけ織り上げていきます。
その複雑な工程から
- フランスのゴブラン織り
- ペルシャ絨毯
と並んで 世界三大織物のひとつとされています。
いかがでしたか?
大島紬の特徴をかけあしでお伝えしました。
30以上の工程を経て織り上げられる大島紬ですが、
大切に着れば なんと!150年から200年も着られる丈夫な織物といわれています。
これが親子3代に渡って受け継がれる・・・
といわれる所以ですね!
以前、100年ぐらい着た大島が食べごろならぬ「着ごろ」
洗い張りをしては仕立て直す、この繰り返しで繊維の毛羽が取れしなやかになり、一番着心地がいいと教えてもらったことがあります。
次回の記事では
福原さんの大島紬について詳しくお届けします!
今回の記事を読んでいただいてから福原さんの手掛けておられる大島紬を見ていただくと、その魅力や面白さがよりおわかりいただけると思います。
お楽しみにー^^
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“福ちゃん&アッコの大島紬白熱教室 season4”
2021年 2月19日(金)から21(日)まで開催
2月18日(木)午後には
福原さんと二人でインスタライブも開催します!
是非みてくださーい^^
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