【きもの白熱教室】伊勢型小紋 見どころリポート&若女将アッコが選ぶ傑作8選

“誠さん&アッコの伊勢型小紋白熱教室”

2019年3月に開催しました。

この記事はその個展の開催記録として
きものに興味のある方という方のために書いています。

 

今回の特別ゲストは
伊勢型小紋伝道師で伊勢型紙プロデューサー
田中誠さん

 

 

若女将アッコ

会のみどころと
誠さんに紹介していただいた作品の中で、
私が撃たれた傑作もご紹介したいと思います。

見どころ①
実際の伊勢型紙を見ていただけます!

今回は特別に生型(なまがた)といわれる
生地を染める前の伊勢型紙を数枚 お持ちいただいています。

 

資料としてもたいへん貴重な型紙です。

 

まさに『百聞は一見に如かず』

 

実際に見ていただくと彫師さん・染め師さんの
凄さ、偉大さが伝わってきます。

 

特に
人間国宝・六谷梅軒さんの“錐通し”の型紙は
美術館に収められていてもおかしくないようなものですが…

 

今回特別に大福屋に来場してました。。

圧巻です!

見どころ②人間国宝三人衆

これまでに6人の伊勢型紙職人が
“重要無形文化財技術保持者”
いわゆる『人間国宝』
に選ばれています。

 

今回はその中のお三方

  • 六谷梅軒さん
  • 中村勇二郎さん
  • 南部芳松さん

このお三方が彫られた伊勢型紙で染めた作品をご紹介します。

 

各人間国宝の型紙を使った作品の取り扱いルートは
ライセンス契約で決まっており、
お三方の作品が揃っての作品の出品は大変貴重です。

 

見どころ③
草木染め三度染め

今回お世話になっている染屋さんは
初めて伊勢型小紋を草木染料で染めました。

 

草木の染料を使うことで化学染料だけの染めでは
表現できなかった光沢を実現!


①従来のシゴキ染料染め

②草木染めでの引き染め

③焙煎液での染め


というなんとも手間のかかる工程で
色の複雑さや表現の厚みが感じられるような独特の艶を
表現できるようになりました。


若女将アッコ
伊勢型で草木染めって
本当に珍しい。。

 

染めの工程が①から③に進めば進むほど、
まるで濡れているような光沢、しっとりした質感になります。

 

①から③まで実際の染めの工程がわかるよう
実際に目で見て手で触っていただける見本の反物を
用意してくださいました。

 

ぜひ見て触って染めの段階の違いを実感していただきたいと思います。

 

今回の作品はすべて江戸時代と変わらない
板場での手染めによる型染め


大正8年創業。なんと今年は100周年!
(2019年2月現在)

 

手彫りの伊勢型紙を使って板染めの技術継承している
伊勢型小紋専門染め師さんの作品です。

 

見どころ④
夏物も充実“爽やか透かしちりめん”

ここ数年お問い合わせの多い内容として

GWあたりから


初夏


盛夏


9月末まで

 

5ヶ月間ぐるっと着られる
きものってないの???”

というお問い合わせをいただきます。

 

今回ご提案する“爽やか透かしちりめん”

 

こちらは着られる期間が長く
風通りが非常によく爽やか

 

 

なので
5ヶ月間まるっと着られます!

 

そのため、

  • 茶道
  • 花道
  • 日本舞踊
  • 和の楽器
  • 香道

などなどお稽古事をしていらっしゃる方から大人気!

 

『強撚糸』という
撚り(より)がしっかりとかかった糸を使っているので、

  • 強くて丈夫
  • シワになりにくい

というところも人気のヒミツです。

 

 

お稽古の他にも

  • 最近増えてきた
    夏の結婚式のおよばれ

 

  • 怪談ものの芝居がかかる
    納涼歌舞伎に出かける…

 

このようなシーンにもOK!何かと重宝する一枚です。

 

最後に・・・
若女将アッコ選品
伊勢型小紋傑作8選

たくさん伊勢型小紋のなかからみなさまにぜひ見ていただきたい!と思う8品をご紹介します。

 

 

若女将アッコ
正統派&ユニークな
ものばかりですが
技巧がとにかく
素晴らしいものばかり
!!!
※色目が実物通りに写りませんが何とぞご容赦くださいませ
 
 

長寿宝亀

大小8種類の亀たちがぎゅーっと詰まった一枚です。

おしりのあたりに“藻”があるのは長生きした証。
長寿の象徴です。

 

 

松の柄の帯とあわせるとおめでたい雰囲気が
一層強くなりますね。

極微塵鮫(ごくみじんざめ)

“極微塵(ごくみじん)”というぐらいなので…

 

紀州徳川家の定め小紋だった“鮫小紋”をできうる限り
限界まで細かく彫りました。



彫る・染める共にこれ以上細かいものは不可能だそうです。

 

遠目から見るとほぼ“無地”

 

ホントに近寄って見ないと“鮫小紋”だとわからない細かさ。

 

若女将アッコ

型紙が細かすぎて…
写真のモアレ感がすごいですー!

瓢に雪輪
(ひさごにゆきわ)

定め小紋の

  • 鮫小紋
  • 行儀小紋

に加えて

  • 錐通し

という図案をひょうたんと雪輪の中にいれました。





 

雪輪と瓢の間隔は
“西郷どん”“篤姫”で有名な島津家の定め小紋である
“大小あられ”

 

一枚でさまざまな“定め小紋”が
楽しめるとーっても贅沢な一枚です。


極み櫻(きわみざくら)

グレーでもない…
ピンクでもない…
藤色でもない…

 

本当に絶妙な色です。

 

 

若女将アッコ

つぶつぶ点々だけでさくらの模様を描いています。

“さくら”は日本のお祝いの花。

幹や枝が描いてなければ春だけではなく
一年中着られるところが嬉しいですね!

 

波に月兎
(なみにつきうさぎ)

 

 

“因幡の素兎(いなばのしろうさぎ)”
がテーマです。

うさぎの柄を選ぶには
耳の長いうさぎを選ぶのがポイント

 

若女将アッコ

いいニュースを長い耳で誰よりも
先にキャッチするためだそうです!

鳴門の渦潮
(なるとのうずしお)

さわやかな一枚。

染めるときに
同じ型紙を半粒だけずらして染めます。

糊置きしてから違う色で染めると
まるで3Dのように立体に見えるのです。

 

若女将アッコ

この図案は前述の“さわやかちりめん”の生地で染める
と 単衣の季節にバツグンです!

鳳蝶
(あげはちょう)

とても華やかな一枚。
伊勢型小紋の中ではこのような図案は珍しい…
という印象を受けました。

 

 

“鳳蝶”と書いて
“あげはちょう”と読むのですね!

蝶は“富貴”の象徴。

 

先ほどの“鳴門の渦潮”と同じように型紙を重ねるときに
半粒だけずらして重ねて染めていきます。

 

分かりますか???

 

若女将アッコ

は、半粒ずれてる!!!

 

貝と海老

シックな一枚です。
が、とても型染めらしい味わいのある一枚。

 

 

よく見ると江戸琳派の人気絵師・伊藤若冲の
動植綵絵を思い起こさせるような一枚でした。

 

 

若女将アッコ

型絵の良さが生きる一枚です。

 


いかがでしたか?

伊勢型小紋で柄が細かいものは一見 無地のように見えるのですが、
実は非常に緻密な仕事の積み重ねによりできあがっています。

 

『よくよく見ないとそのスゴ技がわからない・・・』

 

というところが本物志向の大人の女性の心をくすぐる
ツボではないかな…と扱っていて思います。

 

彫り方や柄はさまざまありますが伊勢型紙はどれも
“紙の彫刻”

 

この技術が絶えることなくいつまでも続いていってほしいと思わずにはいられませんでした。

 

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