『それは糸という“絵の具”で描かれている・・・』爪掻き本綴れ帯、若女将アッコの感動ポイント!【きもの白熱教室】

若女将アッコの“きもの白熱教室”
今回は“爪掻き本綴れ帯”

こちらの記事

に引き続き

  • きものに興味のある方
  • イベントの前に爪掻き綴れ帯をちょっと知りたい
  • イベントに行きたいけど行けなさそう。。泣

という方のために書いています。

というわけでこの記事では

若女将アッコ

若女将アッコから見た
“爪掻き本綴れ帯”の素晴らしさをお伝えしたいと思います!

爪掻き本綴れ帯
織物ですが・・・ほぼ絵画!

帯の作り方は大きく分けるとふたつ。

  • 染めた糸を使って織る“織物(おりもの)”
  • 生地に絵を描くように染めていく“染物(そめもの)”

このふたつがあります。

爪掻き本綴れ帯がすごい!と思うのは
織物なのにまるで描いてあるかのような表現ができること

若女将アッコ

色彩が鮮やかでまるで描いているよう・・・
とても織物とは思えません!

こちらは“紹巴織(しょうはおり)”という名古屋帯なのですが
比べていただくと爪掻き本綴れ帯と色の数の多さと鮮やかさが違うことがわかると思います。

繊細な色の表現を支える職人さんの感性がすごい!

まるで絵画のような色彩を支えるのは職人さんの感性。
経験に裏打ちされた感覚です。

 

若女将アッコ

わたしがこれスゴイと思った感動ポイントを
会場で見ていただくVTRをもとにぜひお伝えしたいと思います!

【感動ポイント①】
“割杢(わりもく)”・・・糸を混ぜて色をつくる

まずは、織る帯の配色にあわせて必要な糸を選び出します。

綴れ織りに使う絹糸

 

ここで下絵に対して“足りない色があるな・・・”と思ったら

若女将アッコ

職人さん、
なんと‼︎ 必要な色をつくってるー!

割杢(わりもく)・・・必要な色をつくります

割杢とは
あらかじめ染められた糸を裂いて
色の違う裂いた糸同士を撚り合わせて必要な色糸をつくることをいいます。

【例】濃い色と白を混ぜて桃色をつくります

 

②2本でよっていた糸を割ります

 

 

③白と濃い色を撚って1本の糸にします


職人さんは左手で元になる色糸を二色持ってます

 

④中間色完成

真ん中の糸巻きが新しくできた色です。

 

若女将アッコ

糸と糸を混ぜて必要な色をつくるなんて・・・
職人さんにとっては 糸は“絵の具”のようなものなんですね!

色使いがたくさんになればなるほど
色をたくさんつくることになるそうです。

 

たくさん色を使えるというのは
より複雑で微妙な色合い、濃淡、陰影などを
視覚的にも立体的にも表現できるということにつながっていきます。

 

それにしても
織るために必要な色をつくるってすごい手間だと思うのですが
そこを妥協しないのは 根気強い日本の職人さんならではですね。

 

自分の仕事や表現にこだわりを持っていらっしゃるお姿は本当に素晴らしいです!

 

【感動ポイント②】
まるで描くように織る

必要な色糸が揃って
いよいよ織るという工程に入ります。

下絵を元に織っていく

縦に張った“経糸(たていと)”の下に“織下絵(おりしたえ)”をおいて
緯糸で経糸をすくって柄を織っていきます。

 

織下絵にそって織っていくのですが
この技がスゴイです!

 

あじさいの花のかたちを織ろうと思えば
下絵を見ながら職人さんが感性で経糸をすくってあじさいの花びらのかたちを織っていきます。

お客さま

曲線を織っていくのに 経糸に“しるし”とかないんですよね
ただただ下絵を頼りに緯糸を渡していくって・・・

糸を絵の具がわりに“描いている”としか思えません

若女将アッコ

確かに・・・
ただきれいに織るということだけではなく、
“表現する”という絵心がないとできないですね!

綴織は横にわたる糸で柄を出していきます。
縦に張られた経糸は見えなくなるのですが、それほど使っている糸の密度が濃いということです。

柄は平行には織れない

使いたい色糸ごとのパーツを織っていくので
決して平行には織れず・・・


柄を織っているときの途中は“でこぼこ”なのです。

この柄の“でこぼこ”をどんどん積み上げていくと一枚の“絵”が完成します。

 

この図案の場合、1日に織り進めることのできる量は
拳ひとつぶんなんだそうです。

 

若女将アッコ

帯を織ると一口に言っても
本当に根気と集中力のいるお仕事だと思います。

帯は身につけるものではありますが、
工芸的・美術的要素が非常に強いことが
よくわかりました!


いかがでしたか?

わたしが素晴らしいと思ったところ

  • 絵の具を混ぜるように必要な色糸をつくること
  • 下絵を見ながら絵を描くような感覚で織っていくところ

に焦点を当てご紹介しました。

 

興味を持たれた方は
工程をわかりやすくご覧いただけるDVDがあります。
『爪掻き本綴れ帯☆白熱教室』開催中は会場でご覧いただくことができます。

また、実物の色の美しさや作品の持つエネルギーを
実際に見て感じていただけたらこんなに嬉しいことはありません。

 

若女将アッコ

こんなにマニアックな記事に最後までおつきあいくださり
本当にありがとうございました! ^